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口から摂るカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが
溶け出して、血管や脳のような柔らかい組織の中にカルシウムが
増え、また、細胞の外から中にカルシウムがはいって、足りないはずの
カルシウムは体中に溢れる不思議な現象をカルシウム・パラドックス（逆説）
といいます。これが、あらゆる病気の元凶となったり、老化の原因となります。 |
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★カルシウムを摂りすぎると結石が起こるか？
結石とは人体の中に石のように固いものができることですので、鉱物質（ミネラル）ことに
カルシウムを含んでいるいるものが多いのは当然のことです。野や山に小石がごろごろしていても
別に害はありませんが、体の中に石のようなものができると、たとえ小さいものでも、腎臓結石
尿管結石では尿の流れを、胆管結石では胆汁の流れを防げたり、先のとがった結石やざらざらした面が
組織を傷つけたり、この為に感染しやすくなったり、色々な障害が起こります。
人体の中でできる主な結石は、腎臓結石・胆石・膵臓結石・唾液結石などですが、その成分は色々で
石のように固いといっても、必ずしも無機物だけでできているわけではありません。
腎臓結石には、尿酸やシスティンのような無機物だけでできているものもあり胆石にはコレステロールを
大量に含んでいるいるものもあります。しかし、どの器官にできる結石も、大部分はカルシウムを
含んでいるといってよいでしょう。そこでカルシウムを沢山食物として摂り過ぎすと、腎臓結石
ができやすくなるのではないかという心配がどうしても出てきます。
★腎臓結石になるメカニズム
それでは、主として腎臓結石がどうしてできるのか考えてみましょう。
カルシウムは血液の中でも溶液になっています。ところがある条件の下では沈殿しやすくなり
目に見えるような沈殿として固まります。これが結石です。尿の中でカルシウムが沈殿する為には
まず第一にカルシウムがたくさん尿の中に出てきて、濃度が濃くなることが必要です。
次にはｐHがアルカリ性になると沈殿が起こりやすいのです。
腎臓結石の患者さんのなかには確かに尿の中にカルシウムのたくさん排出される人が多く
また普通はかなり酸性の強いはずの尿が、アルカリ性になっているものが多いことが分かります。
しかし、カルシウムをたくさんとればそれがそのまま尿に出てくる訳ではなく、腎臓結石のできる人が
必ずしも食物としてカルシウムをたくさん摂っている人ではありません。
★便は体外の通過物、尿は体内からの排泄物
私どもは胃の中というと体の中だと思いますが、実は食物を
食べても胃の中、腸の中を通っている間はまだ体の外にあるのです。
本当に体の中に食物がはいる為には腸から吸収されなければなりません。
★結石もカルシウム・パラドックスによって起こる
尿の中にカルシウムがたくさん出てくるという症状には、例えば骨からたくさんのカルシウムが
溶けて出てくる場合があります。これが骨吸収型腎臓結石です。骨はカルシウムの銀行のような
もので、副甲状腺ホルモンという鍵がなければカルシウムは骨から出てきませんが、副甲状腺ホルモン
がどんどん分泌される原発性副甲状腺機能亢進症という病気では、いくらでも骨からカルシウムが
溶け出してきて、尿の中にも出てきますので、腎臓結石が起こりやすいのです。
またカルシウムのとり方が不足すると、副甲状腺ホルモンはあわてて骨からカルシウムを取り出そうと
しますので、カルシウムが不足しているはずなのに、尿の中にはかえってカルシウムが沢山でてきて
腎臓結石が出来る、ということもあります。このような場合にはカルシウムを食物としてまたは
カルシウム剤として充分にとれば副甲状腺ホルモンの分泌が少なくなり、骨からそれほどカルシウムを
取り出さなくてもよいので、尿の中へのカルシウムの出方が少なくなり腎臓結石はかえって
少なくなります。これもカルシウムのパラドックスの一つでカルシウムを充分にとれば、かえって
腎臓結石が起こりにくくなるのです。 |
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